赤い狼 参
それに私は何も言わずに頷き、朋さんの横に腰掛ける。
「…どうしたんだ?」
そして、少しだけ間を空けて朋さんは静かに口を開いた。
でも、何て説明したらぃぃのか分からない。
だって、私の勝手な思い違いかもしれない。
優吾や慶吾に直接聞いた訳じゃない。
これで朋さんに言ったとして、優吾と慶吾が嫌な思いをするかもしれない。
それなら、絶対に言えない。
私は、優吾と慶吾に心から笑って欲しいだけ。
あんな、悲しい目をしないで欲しいだけ。
それを、私が勝手に自分と重ねて悲しくなって泣いただけ。
ただ、自分が勝手に泣いただけ。
「稚春。」
言えずにただ俯いて黙っていると、朋さんが私の頭をクシャクシャと撫でた。
それによって俯いていた顔を上げる。
「無理して言えとは言わねぇ。でも、俺は稚春の泣いた理由が聞きてぇ。
俺は、稚春が心配なんだよ。」
朋さんは優しい声とは反対に、真剣な表情で私を見つめる。