赤い狼 参
あぁ、朋さんは私を泣かす天才だ。
だって、そんな事を言われたらまた、泣いてしまう。
ほら、また。
ポロポロ、ポロポロと。
私の頬を生暖かい雫が伝う。
弱い姿なんて、見せたくないのに。
「俺は、稚春を知りたい。」
真剣に私を見つめてくる朋さんには勝てない。
やっぱり朋さんの目を見ると、魔法に掛かってしまうんだ。
「あのね…――」
朋さんなら、分かってくれるのかな。
そう思いながら私は口を静かに開いた。