赤い狼 参
「え?駄目だよ!殺しちゃ!祐、犯罪者になっちゃうよ!」
慌てて祐を止めに行く。
「うるせぇ!アイツ、一発でも殴らねぇと気が済まねぇ!」
「いや、大丈夫だって!私、どうせあと一年したら、この街から居なくなるから!」
「あ゙!?どういう事だよ!」
「私、結婚するの!」
私が叫ぶように祐に言うと、祐がピタリと動きを止めた。
「結婚…?」
祐が信じられないという目で私を見る。
…うん。そうだよね。私も、最初は信じられなかったよ。
「うん。高校卒業したら私、この街を出て、2つ隣の街に行くの。
で、そこに結婚相手が居るらしいの。だから、そこで暮らすようになると思う。」
ハッキリと、祐の耳に入るように言い放つ。
自分にも、言い聞かせるようにして。