赤い狼 参





その言葉に


エヘヘッ。


と笑って誤魔化そうとしたけど、拓磨の爪がさっきよりも私の首に突き刺さってきたから慌てて口を閉ざす。




…はい、すいません。気を付けます。




そこで、気が付いた。




「拓磨、そういえば何かを話してたよね?」




後ろに居る拓磨に話し掛ける。



「それを今から話そうとしてるんだろ。


なのに稚春がさっきから話を途中で切ったんじゃねぇか。」




ここからでも分かる拓磨の怒った様子。


それにヤバいと気付いた私は、拓磨にすかさず謝る。




「ごめんなさい。はい、話して?」




このままでは殺されてしまう。

塚、今思ったけど《VENUS》の皆は私を殺したいのだろうか。


肩を握り潰そうとするし、押し潰そうとするし、首に爪を食い込ませるし…



って、ほとんど優魔じゃないか。



ハッと優魔を見るけど、優魔はもう私に興味ないという様子で口笛を吹きながらテレビを見ていた。




…コイツ、やりたい事ばっかやって暢気にテレビ視聴か。





< 325 / 410 >

この作品をシェア

pagetop