赤い狼 参





「まぁ、そういう事だから。逃げるなよ。」




拓磨が横目で私を見てくる。



うん、分かったってば。




逃げないって。



そういう思いを込めて私も拓磨を見ると、拓磨は


まぁ、今日はそれだけ言いたかっただけだ。


とダルそうに呟いた。




…え?それだけ?




固まる私に、要が


ジグソーパズルしよーぜ。


と楽しそうに話し掛けてくる。




…私の休日を返せよ。



電話で出来るじゃん、その話。




一発拓磨を殴ってやりたかったけど、


そんな事をしたら倍やられるかもしれない。


とワナワナと震える拳を抑える。





腹立つ。



そんな思いを抱えながら一つ、大きなため息をつき、私は要に誘われたジグソーパズルに専念する事にした。






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