赤い狼 参
「…本当に言ってるの~?稚春~。」
香はいつもの調子で喋って、いつもの調子で私を見てくる。
「うん。塚、黒澤学園っていうもの自体、知らない。」
真面目な顔してこっちを見てくる実が目の端に見えて、私もつられて真面目な顔になる。
「あ~、そっちからねぇ~。」
私の言葉を聞いた香は、何故か一人で納得しだした。
実は、一人でブツブツと何かを呟いている。
「まぁ、まずは黒澤学園からの説明だねぇ~。」
ニコニコと笑顔で机に頬杖をつく香。
でも私は黒澤学園なんて興味がない為、
え?
という声と共にすっごく面倒臭い。という表情を顔に出してしまった。
「聞く…よねぇ~?」
「はい。聞かせて頂きます。」
でも、香には逆らえない。と、いうかさっきの言い方と顔が怖かった。
何で"聞く"で間を空けるんだ。
そして顔は笑ってるけど、目!!
目が笑ってなかった。
おぉ、怖っ。
ブルブルッと軽く身震いをする。
私の周りは怖い奴等ばっかりだ。