赤い狼 参
そうだったの?
自分は必要無いと思ってたから、あの家を出ていったの?
…でも…
「それは違うよ、祐。私、祐が出ていった後、言われたの。
"あんたは必要無い。いらない子なのよ。この家の邪魔者なのよ!"って。
あと、"あぁ、産まなきゃ良かった。祐じゃなくてあんたが出ていけば良かったのよ!"って言われたかな。」
祐の背中越しに、優しく話す。
「祐は、必要無くなんか無いんだよ。むしろ、必要とされてるよ。昔も、今も。」
そう言うと、祐がこっちに体を向けた。
「…お前、馬鹿じゃねぇの?」
「…何で?」
「お前、俺が居なくなったせぇでボロくそ言われたのに、何で俺の味方なんかしてんだよ。本当、人良すぎ…。」
祐は、ハハッ。と笑って私を抱き締めた。
「でも……ありがとな。」
「うぅん。ぃぃよ。」
ギュウッと祐を抱き締める。