赤い狼 参





「ただ、


"今日昼休みに逢いに来るから"って伝えてて。


って言われたから伝えに来ただけ。それじゃ。」



「え、ちょっと待って!」




手を伸ばして止めるけど、女の人はスタスタと教室を出ていく。




私は手を伸ばしたまま、


まだ聞きたい事があるのに!


とその女の人が出ていった後を見つめる。




………どうしよう。




昼休みに逢いに来る?




逢いに…逢い…





「逢いにぃいいぃ!?」





意味が分からない!と勢いよく椅子から立ち上がるとガタンッ!と凄い音を立てて椅子が床に倒れる。




「稚春、煩いよ~?」



「ご乱心?」




すると、今帰ってきたであろう香と実が私をジロジロ見つめていた。




「ヤバい!ヤバいって、香ぃ!実ぃいいぃい!」



「煩いって。」



「どうしたの、どうしたの~!?」



「香までノらなくてぃぃって。」




珍しく慌てている私に香も珍しく慌ててる。



でも、そんな私達二人に軽快なツッコミをする実。




おぉ、実がいつも通りだ。



さすが実様。




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