赤い狼 参





…………最悪だ。





体の力が一気に抜ける。



この授業が終わったら青木くんという人が来てしまう。




はぁ。一つ、ため息をつく。





「お前等、席に着けー。もう予令鳴ったぞー。」




古文の先生が席に着くように皆に呼び掛ける。




「稚春、頑張れ!」




思ってもない癖に。




「あー、楽しみ!」



「この授業、頑張ろ~。」




まだはしゃいでいる二人を横目で見る。




「だから、お前等席に着けー。」




古文の先生の声がまた聞こえる。




私はまた、はぁー…。とため息をつく。




まぁ、諦めるにこした事はないな。




昼休みの事を考えないように、ぼんやりと窓の外を見る。



あぁ、天気がぃぃ。



そんな事を思いながら外を眺めていた。






―――――――――――
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―――





「うぅー…どうしよう。」




そして、今に至る。



あの時は諦める。そう思ったけどやっぱり、人間っていうものは嫌なものからは逃げたくなる生き物なんだと思う。




だって、逃げたくて仕方ない。




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