赤い狼 参
:《CHAIN》
全速力で走って息が詰まる。
「あ…おき、くんっ。」
息切れしながらも青木くんの名前を呼ぶと
「あ、稚春。」
と、なんとまぁ、いきなり呼び捨てで呼んできた。
…青木くんに下の名前で呼ばれる覚え無いんですけど…。
戸惑いながらも青木くんを見ると
「稚春、走ってきたのか?汗だくだけど。」
袖で私のこめかみから垂れてきている汗を拭いてきた。
「あっ、別に気にしないで下さいっ!?」
両手で青木くんの胸の辺りを押すと
その両手をパシッと青木くんがつかんで、グンッと勢い良く前へと引っ張られた。
それによってバランスを崩した私は。青木くんの腕の中にスッポリと収まってしまう。
え。ちょっ、ちょちょちょちょ、どゆ事!?
青木くんの胸ですか、この目の前にあるものは青木くんの胸ですか!?