赤い狼 参
「顔赤いぞ?俺に見とれたか?」
「あ、そういえば何で此所に来たの?」
「見事にスルーしたな。」
私の頬をスルスルと撫でる学にお構いなしに
首を傾けながら質問すると、学はあからさまに不機嫌な顔をした。
「だって思った事はすぐ言わないと忘れるから。」
「…そういえば稚春はそういう奴だったよな。
ま、此所じゃあ何だからさ、乗れよ。」
背の関係上、学を覗き込む事になってしまう私に、学はヘルメットを渡して来た。
そして学は慣れた様子で後ろに停めてあったバイクへと股がる。
…ん?
「今、昼休みだけど…。」
「知ってる。」
ヘルメットを持って固まる私を見て、学は前髪を鬱陶しそうに掻き上げる。
「昼休み終わったらまた授業があるんだけど…。」
「んなもんサボれ。サボタージュだ、サボタージュ。」
「マジすか。」