赤い狼 参
「それなら文句言えねぇだろ。」
そう言われてしまったら何も言えない。
でも、まだ《SINE》の事が気掛かりだ。
特に………隼人が。
「でも…《SINE》が…。」
「今から連絡すれば?」
「何て言えばぃぃのか分からない…。」
視線を下に向ける私に学が
こっち向けよ。
と顎をクイッと上に上げる。
「今日は行けねぇって電話しろ。」
「え…。絶対嘘ってバレる…。」
「友達にもそう言っとけ。今あそこの窓から覗いてる二人に。」
学はまだうっすらと笑いながらさっき私が居た教室をチラリ、見る。
気付いてたの?
そんな顔をすると
当たり前だろ。
そんな風な顔をされた。
「何で来れないのか聞かれたら?」
「んなもん、お菓子作るとか言っときゃぃぃだろ。」
あ、そっか。
あの人達そういえばお菓子好きだった。
今更ながらに気付いた私は、無言でポンッと掌に拳で軽く叩く。