赤い狼 参
「意外と天然なんだな。」
そう言って笑った学の顔は、今度は本当に笑っていた。
偽り、ではなくて。
「じゃあメールしておく。」
「そうしろ。」
早くしろよ。
そう言いながらも、私が隼人や《SINE》の皆にメールし終えるのをちゃんと待ってくれていて。
優しい人だな。
そう、思った。
「乗れ。」
私がメールし終えたのを確認した学は、顎でクイクイと後ろの座席をさす。
そんな学の瞳は光に当たって澄んだ茶色に見えた。
「…運転が荒くないんなら。」
「稚春が乗ってんのに、そんなんするかよ。
ほら、人が集まってきたぞ。早く乗らねぇと稚春の顔がバレんぞ。」
「それは一大事だ。」
学の言葉に慌ててヘルメットを被り、バイクの後ろに飛び乗る。