赤い狼 参





え、そういう問題なの?


と問い掛けようとした時、私の目の前で動きを止めた学にいきなり引っ張られた。




「ちょ、本日二回目!」



「知ってる。」




知ってるなら離せよ。



そう悪態つきながらも目を見開いている私の視界には、学の胸板が。




…うん。なんかもう、どうでもよくなってきたぞ。




ハハッと乾いた声を出す。



でも、そんな私に関係なく学は…

私の髪の毛を耳にそっと掛けて







「稚春…好きだ。」










耳元で低く、囁いた。






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