赤い狼 参
「ちちちちち!?」
「え、何々!?取り敢えず落ち着いて!痛いから!」
この前の優魔事件での肩、まだ治ってないんだから。
いてててっ。そう言いながら肩を押さえると学が
わりぃ…。
弱々しく言ってきて
大丈夫。
笑顔で返事をした。
「さっきの稚春の声、可愛かった。」
「は?」
本気の目をして言ってくる学にまたもや危機を感じる。
もう耳はお断りだ。
「可愛くない、可愛くない!」
「馬鹿野郎。可愛ぃって。」
「可愛くない!」
「可愛ぃ!」
何の言い合いだ。
これ、第三者から見るとスッゴく変な言い争いだと思う。
…と、暢気な事を思いながらさっきの私は可愛ぃか可愛くないかの口論をしていると…
「青木さん。」
私と同じ歳だと思われる男の人が学を見つめて私達の後ろに立っていた。