赤い狼 参
どこかで聞いた事ある名前だな。
うーん。と頭を傾げる。
でも、いつも肝心な処で思い出せない私が思い出せる筈もなく。
「何だったっけ?」
今回も思い出せずに終わった。
「何が?」
「いや、何でもない。」
まぁ、じきに分かる事だし放っとこう。
「あ、そろそろ行かねぇとやべぇな。」
「ん?」
「まぁ稚春、行くか。」
「え。何処に?」
「ま、それは行ってからのお楽しみって事で。」
レッツゴー!と元気よく掛け声を掛けた学に手を強く引っ張られながら歩く。
「わわっ、」
「気を付けて歩けよー。」
お前のせいで気を付けて歩けねぇよ。
そう言ってやりたい処だったけど、そんな事を言う暇なんて
今の私には無かったから大人しく学についていく事にする。
そして、大きな門の前に着いた。