赤い狼 参





気配さえしなかった川西さんに少し驚きながら川西さんに視線を向けると



「川西さん、そのドレスどうしたの?」



ドレスが何故か川西さんの手に握られていた。




え?何?


もしかして川西さん、そっちの領域の人なの?



アッチの人なの?




え?え?と頭を抱えている私に、川西さんはとても冷静な言葉を一言言い放つ。




「落ち着いて。」




ですよね、すいません。




でも、本当に分からない。



何でドレス?


しかも、白って…。



え。結婚式?




「落ち着いて。」



「あ、はい。」




また妄想しそうになった時、川西さんの二度目のツッコミで我に還った。




「えっと…じゃあ、このドレス、誰のなんです?」




さっきから気になっているドレスに指を指す。



すると川西さんは今まで通り、落ち着いた口調で






「白兎さんのです。」






言い放った。






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