赤い狼 参
「川西じゃなくて玲(れい)。」
「うぬ?」
「あ、川西の下の名前。玲っていうんだ。」
「え、何。名前で呼べって事?」
「そういう事だろ。」
文章を最後まで言えよ。
分かんないじゃん。
掴めない。と玲を観察するように見つめる。
「早く着て。」
「え、何かさっきまでの態度と違うんですけど!」
「これが素の川西だ。」
「え。何で急に素を出してきたの!?」
「めんどい。」
「あー…偽るのが面倒臭ぇんだとよ。」
だから単語だけ言うなよ。
本当に掴めない。
はぁ。とため息をついて玲を見ると
「早く。」
「え。そんなに着てほしいの。」
「命令だから。」
物凄い目力でドレスを渡してきた。
「着ろ。」
「絶対に嫌だ。」
まだ粘る玲に私も粘る。