赤い狼 参
「じゃあ来い。」
「えぇっ。わっ、」
腕を掴まれ、グイグイと引っ張ってくる玲によってこけそうになる。
「ちゃんと歩け。」
「今のは玲が悪いでしょ!!」
お前のせいで私はこけそうになったのに玲に睨まれるなんて意味が分からない。
本当この二人、意味が分からない。
軽く頭を抱える。
なんか最近、過労が激しい気がする。
これもきっと、《SINE》と《VENUS》の奴等のせいだ。
はぁっ、と今日何度目か分からないため息を大きくつく。
「着いた。」
「何処に?」
「…司さん、連れてきました。」
「入れ。」
ワンテンポ、遅れて聞こえてきた声は低くて…何故だか鳥肌が立ってしまった。
「入れ。」
司という人の返事が返ってきたと同時に玲が私の耳元で話す。