赤い狼 参





「やっ、離して!」




司に掴まれた手を振りほどこうとして、手を思いっきり振る。


でも、司の力は緩むどころかますます強くなっていって―……


痛い。




「痛いっ!離して!」




大きな声をあげてもう一度、手に力を入れて思いっきり振る。




――バシッ――




「…っ、」




不意に、頬に痛みが走った。




この痛みは他の誰でもない、司が私に与えたもので。



あまりの痛さに、泣きたくなった。




…強い衝撃で頭がクラクラする。



立っていられなくなって足をフラフラとふらつかせていると



「大人しくしてればぃぃんだよ。」



司が低い声で唸るように私の耳元で喋って…私を担いだ。





「…っ、止…めてっ」




さっき叩かれたのと担がれているので視界がグラグラする。




バタバタと手足をばたつかせて抵抗していると


また痛ぇ思いしてぇの?


と相変わらず低い声で言われた。





< 380 / 410 >

この作品をシェア

pagetop