赤い狼 参
「やっ、離して!」
司に掴まれた手を振りほどこうとして、手を思いっきり振る。
でも、司の力は緩むどころかますます強くなっていって―……
痛い。
「痛いっ!離して!」
大きな声をあげてもう一度、手に力を入れて思いっきり振る。
――バシッ――
「…っ、」
不意に、頬に痛みが走った。
この痛みは他の誰でもない、司が私に与えたもので。
あまりの痛さに、泣きたくなった。
…強い衝撃で頭がクラクラする。
立っていられなくなって足をフラフラとふらつかせていると
「大人しくしてればぃぃんだよ。」
司が低い声で唸るように私の耳元で喋って…私を担いだ。
「…っ、止…めてっ」
さっき叩かれたのと担がれているので視界がグラグラする。
バタバタと手足をばたつかせて抵抗していると
また痛ぇ思いしてぇの?
と相変わらず低い声で言われた。