赤い狼 参
そしてそのまま
「消毒な。」
チュッとリップ音を鳴らして私に口づけた。
「え。」
――…思考回路が一気に停止した。
「学、お前分かってんだろうな。」
「さっきの痛かったからこれぐらいぃぃだろ。」
「あ゙ぁ゙?」
「俺も稚春が好きなんだ。」
固まっている私の頭上で口喧嘩をする二人。
………キス、された。
しかも、二人に。
私の頭はさっきの事が受け入れられないらしく、思うように動いてくれない。
「いってぇ。」
「俺のものに手ぇ出したからだ。」
「せめて加減してくれ。…って、稚春…大丈夫か?」
カチンコチンに固まる私の顔を学が覗き込んでくる。
「稚春に触んな。」
「だから危ねぇって!」
「稚春、何かあったのか。」
そして、司まで私の顔を覗き込んできた。
キスきすkissきす鱚…
あはは。
「私、帰るっ!!」
「ちょ、稚春!?」
「チッ、…逃げたか。」
頭が限界を越えて、何も考えられなくなって…結果、二人を押し退けて全速力で走った。