赤い狼 参
何処に行けばぃぃのか分からない。
でも、あのキス魔が襲ってくる前に!
はぁはぁ、と息を切らしていると、遠くから人影が見えた。
あ、あの人に出口を聞いて帰ろう!
その人のところまで全速力で走る。
「あの!すみません!出口って何処でしたっけ?」
く、苦しい!走るのってこんなに苦しかったっけ?
ぜぇはぁ言いながら膝に手をつく。
何だ、この疲労感。
「…稚春、こんな所で何してんの。」
「ご、ごめんなさい。道に迷って…って、え?」
頭上から聞こえた声に聞き覚えがあって、俯いていた顔を上げる。
「…玲だ。」
「は?当たり前。それより此所で何してんの。」
まさかこんな所で玲に逢うなんて思ってもなかったから目を見開いて驚いていると、玲は鬱陶しそうな顔をした。
「えっと、出口教えてもらいたいんだけど…。」
「司さんと学さんはどうしたの。」
出口を教えて貰おうと思ったけどやっぱり無理そうだ。
「に、逃げちゃった的な…?」
あはは…。と後頭部を掻くと、玲は長くため息を吐いた。
「ばっかじゃないの。」
はい、ごめんなさい。