赤い狼 参
司や学に馬鹿と言われると腹が立つけど、玲は逆に素直に謝れる。
と、いうかさ。
「えっと、帰りたいんだけど。」
「は?ばっかじゃないの。」
はい、すんません。
…用件を言ったら物凄い顔で睨まれた。
やっぱり帰れないのかな。
でも、またキスされるのはまっぴらゴメンです。
なんて、一人で悲しく思っていると
――ピピピピ…――
「あ。司さんだ。」
目覚まし時計が鳴った。
「って、え?司?」
え?今、司って言ったよね?と玲を勢いよく見ると電源ボタンを押して携帯を耳に押し当てていた。
え。待ってよ、待って。今の音は完璧目覚まし時計の音だったよ。
電話の音じゃなかったって。聞き間違いか?いや、ちゃんとこの耳で聞いた筈。
そう思いながら玲を凝視するけどやっぱり、
「はい、川西です。はい、はい、分かりました。」
電話をしている。
やっぱりあれは聞き間違いじゃなかったらしい。
玲ってばもしかして変わり者?
ん?と首を傾げていると額を玲にど突かれた。
グラグラと頭が揺れる。