赤い狼 参
「玲!もうちょっとゆっくり歩いて!」
「は?ゆっくりとか無理。俺は忙しいの。」
せかせかと歩く玲の足の動きはさっきのペースと変わりはない。
んもう!頑固!
――ギイィイイィ――
「ほら、行くよ。」
あの派手な門をくぐり、玲は腕を強く引っ張ってくる。
痛い痛い!塚!
「門が何も言わないでも開いた!」
意外な事実発見なんですけど。
えぇ!と大きな声を出して騒いでいる私を玲は一度も見ずに前だけを向いて衝撃的な事を口から溢した。
「だってあれ、俺が開けてるから。」
「へー、そうなんだぁ。だから何も言わないでも開いたんだぁ…って、はぁああぁあングッ!」
「うるさい。うざい。黙れ。うざい。」
叫んでたら玲に凄い速さで口を塞がれた。しかも、うざい二回言ったし。
どんだけ私うざいんだ。
手を外された瞬間にはぁ、とため息をつくと玲にすかさず
稚春がつくな。俺がため息つきたい。
って真顔で言われた。
…すいません。
そんなこんなで何気にゆっくり歩いてくれた玲の後を歩いていくと、王冠のマークが付いている車の前に来た。