赤い狼 参





「可愛ぃ王冠…。」




壊さないようにそっとその王冠に触れる。


太陽の光に当たってキラキラしてる。綺麗。


王冠にさわさわと触っている私を玲が横目で見る。




「クラウンっていうんだ。」



「クラちゃん?」



「は?」



「だって、クラウンだから最初の二文字を取ってクラちゃんじゃん。」




フフッと玲に笑いかけると玲が


俺の愛車に変な名前付けんな。


と呟いて運転席に座った。




「愛車って…玲って何歳?」



「……乗って。」




疑問を投げ掛けるとあからさまに私から視線を外した玲。


……怪しい。




これは無免許だな、と思いながら運転席に座った玲を軽く睨む。



すると、玲が運転席側の窓を開けて顔を出し


「早く乗って。じゃないと置いていく。そして…轢(ひ)くよ?」


なんともまぁ言葉とはミスマッチな美声で私に脅しを掛けた。


でも私は、脅しにのってやるものか、と意地になって車の前から動かずにジッと玲を見る。







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