赤い狼 参





―――――――
――――
――




「降りて、稚春。」



「はいはい、降りますよ。」



「…轢いて欲しいの?」



「すみませんでした。」




あれから玲は、家までの道を教えてないのにちゃんと家まで送ってくれた。



何で知ってるの、と聞くと玲が


内緒。


って言ってフェロモンを車内にバラ撒いて、私は玲のむんむんフェロモンで窒息死するかと思った。




「じゃあね、稚春。」



「あ、うん。玲、送ってくれてありがとう。」



「フッ、まぁ…また迎えに行くよ。」



「…いつ?」



「さぁね?」




にこやかに笑って私を見た玲。



その爽やかな笑顔が逆に怖いです。




引き攣った笑いを見せると玲が無表情で


ぶっ細工。


と呟いた。



本当、ムカつく。腹が立つ。




「じゃあね、玲。」




さっきの玲の一言が意外と頭にきて、私はさっさと家に入ろうと玲に背中を向ける。




「その前に一つ。」




でも、玲の言葉が私の足を止めた。





< 405 / 410 >

この作品をシェア

pagetop