赤い狼 参
それより気になるのは玲が迎えに来るって言った日がいつなのか、だ。
さぁね。って、一番嫌な言葉で返しやがって。
やっぱり玲はバカ野郎だ。
って、どっかでエスパーしてるかもしれないから止めとこう。
フウッと息を吐いて考えてもキリがないなぁ。と首を振り、大きく体全体を伸ばす。
「さーて、ご飯でも作るかっ!」
そして、気合いを入れて頬を両手で叩いた。
でもそこでふと、思い出す。
玲が窓を閉める直前に言った言葉を。
「時が来たら迎えに来ます、か…。」
上等じゃん。それまで私は楽しい思い出を作って悔いが残らないように過ごす。
いつ、迎えが来てもぃいように。
空を見上げる。
すると、もう日が落ちて夕方になっていた。
夕日が綺麗だ。
「真っ赤だなぁ…。」
眩しい夕日を見つめながらポツリ、呟く。
立ち止まっては居られない。
時間は、限られている。
私は出来るだけの事をしよう。
「よしっ。」
小さく、でも強く呟いて歩く。
私は、立ち止まらない。
――この日の夕日は真っ赤に、とても綺麗に輝いていた。