赤い狼 参
「…祐、今まで何処に居たの?」
パッチリした目を俺に向ける稚春。
昔から、稚春は目が大きいよな。
「何処か遠い所。」
「真面目に答えてよ!」
あ。そうやって、頬を膨らませる処も変わってねぇんだな。
拗ねると、必ずしてたよな、それ。
懐かしい記憶が次々に蘇ってきて、思わず、頬が緩む。
あぁ。稚春だけは変わってねぇな。
そう、思った。
安心した。
そしてある程度、俺が7年間
何してたか…とか、
何処に住んでたか…
とかの話を終えた後、稚春は俺が一番触れられたくなかった事を言ってきた。
…アイツ等の家に帰る?
ふざけんな。
帰るかよ。
どうせ、俺なんか帰ったって門前払いだ。
要らねぇって言われたんだからよ。
毎日、毎日。
数えきれねぇ程。