赤い狼 参
「へぇー。見えないね。むしろ、女いっぱい引き連れてそうなのに!」
「あ。それ言ったら龍達怒るから、シーな。」
人差し指を口元に持ってきて、静かに。のポーズをする祐が、とても可愛く見えて思わず噴き出す。
「ちょっ、稚春ひでぇ。笑いすぎ。」
「だって、面白すぎ!塚、可愛ぃ!」
「だぁーーー!うるせぇぞ、稚春!ほら、着いたぞ!」
口を祐と繋いでない方の手で押さえて笑うけど、全然意味なくて。
ヒーヒー言いながら笑っていると、祐に拳で軽くコツンッと小突かれた。
「ごめんごめん。でも、褒めたじゃん。」
目の端に付いた涙を拭いながら祐を見ると
「全然褒めてねぇ。男に可愛ぃなんて言うなよ。女に言え、女に。」
完全に拗ねたらしく、頬をプクーと膨らませてそっぽを向いてしまった。
その姿がなんとまぁ、似合っているから不思議だ。
「ごめんって。祐、許して?」
祐の向いている場所に立ってお願いのポーズをする。
けど、
――プイッ――
祐はまた違う方向に顔を背けた。