赤い狼 参
匂い馴れたシトラスの香りが鼻を掠める。
そのぃぃ匂いを纏わせているのは、他でもない隼人。
「え?一緒の携帯買うの?」
予想外の言葉に少し驚いて隼人の方を振り向く。
「買う。」
またギュウッと抱き締めて耳元で喋る隼人。
その声に、その体温に、その匂いに、身体が熱くなる。
「でも、お金掛かるんじゃないの?」
「心配ねぇ。」
…心配無いって…。
どういう意味で言ってるんだろう?
だって、お金掛かるじゃんねぇ…。
首を傾げて頭に?マークを浮かべる。
「稚春ちゃん、忘れてねぇ?俺等、一応会社経営してるんだけど。」
「…あ。」
ドアから出てきた銀に言われて思い出した。
そういえば、そんな事言ってたような気もしなくはない。
「やっぱり、忘れてたんだね。つぅーか、仕事してんの俺ぐらいだけどね。」
棗が銀に
お前が偉そうに言うな。
と拳で頭をゴツッとド突く。
その光景を見て、思わず
「うわぁ…。」
声を漏らす。