赤い狼 参
隼人にさっきド突かれたのはまだぃぃ方だと悟った。
だって、私がさっきド突かれた時は、"コツンッ"って音だったけど…さっき、私の聞き間違いじゃなければ、"ゴツッ"って濁った音がしたからね。
私、聞いたよ。この耳でちゃんと。
「銀…大丈夫?凄い音したけど。」
「あぁ、いつもの事だから大丈夫だ。」
いつもこんなんなんだ…。
なんか銀、可哀想。
「棗、銀を叩いちゃ駄目だよ。
あんまり頭叩くと銀、馬鹿なのにもっと馬鹿になっちゃうよ。そうなったら棗も困るでしょ?」
棗の顔を真剣に見つめる。
すると
「あ…。そうだね。それは困るな…。これからは気を付けるよ。」
にこやかに笑って私を見る棗。
「ちょっ、君達結構ひでぇ事言ってるからな。」
「本当の事言っただけでしょ(だろ)。」
「マジでひでぇ。」
シクシクと泣き真似をする銀を私達は無視して話し続ける。