赤い狼 参
稚春達に取り残された俺達の間には、沈黙が流れる。
「稚春に兄貴が居た…?」
その沈黙を破ったのは…連。
皆が連の方に視線を向ける。
「本当なのか?だって稚春、そんな事何も言ってなかったぞ?」
連は黒髪の頭をクシャクシャと掻きむしる。
混乱してるんだろうな。
実際、俺も今の状況が理解出来ねぇ。
「稚春に兄貴が居るって隼人、知ってたんか?」
龍がこっちを見て訪ねてくる。
「いや、知らなかった。お前等はあの祐って奴が稚春の兄貴って事知ってたのか?」
「いや、俺も知らんかった。まさか、祐に妹が居るなんてな。
ましてや、その妹が稚春なんてビックリや。」
龍はハハッと笑って肩をすくめた。
どうやら本当らしい。