赤い狼 参
「知ら…ない…。」
「じゃぁ、教えてあげるよ。もう一つの意味は…」
ゴクッと息を呑み込む。
"《SINE》が守る姫って意味だよ。"
「………え?」
「聞こえなかったの?それとも、聞いてなかったの?」
棗がまた恐い顔をして私を見てくる。
…いやいや、違います。
聞こえてましたよ。聞いてましたとも。
でもですね…今の"え?"は、驚きの"え?"ですよ。
びっくりなんですけど。何々!?
何て言った!?ききききき聞き間違い!?
「Why?」
「ふざけてんなら、いくら稚春でもぶん殴るよ。」
マジですか。
それは遠慮しておきたい。
もしかしたら、三途の川見れちゃうかもしれないじゃん。
死んだお祖母ちゃんに逢えるじゃん。
塚、棗のぶん殴るって超痛そうなんですけど。
《VENUS》で銀が殴られたの見てたけど、あの時、凄い音したはず…。
その後、確か棗、
「あれ、すげぇ軽くやったんだけどね。痛かったみたいだね。」
って笑ってたような…。