赤い狼 参
「まず…《SINE》が敵対してる奴等が誰だか知ってもらわないと困るんだ。」
「うん。」
「前も言おうとしたんだけどね…。前は言えなかったんだよ。……稚春を外出禁止にした時の事、覚えてる?」
「うん。覚えてるよ。」
「…その時、言おうと思ってたんだけどね…。実は、《SINE》が敵対してるのって《VENUS》なんだ。」
「…へぇ。」
あれ。聞こえなかったのかな?
なんか稚春にしては反応が薄い気が…
「稚春、聞こえなかった?」
「え。ちゃんと聞いてたよ?《SINE》が敵対してるのが、《VENUS》なんでしょ?」
…あれ?ちゃんと聞いてたのか…。
じゃぁ、何でそんなに反応が無いんだろう…。
どうしたの?と首を傾げる稚春を見る。
「いや、いつもだったら結構なオーバーリアクションなのになぁ…と思って。」
「あぁ。だって、なんとなく、そうなのかなぁ。って思ってたから。
ビックリってよりは、やっぱりそうなんだ。って感じかな。」
そう言って少し笑った稚春を見て
あぁ。やっぱり、稚春は勘がぃぃな。
と改めて思った。