赤い狼 参
前から、稚春は勘はぃぃんだ。
それが何でかは分かんないんだけど。
「そっか、それなら話は早いな。稚春、敵対してる奴等は《VENUS》だけじゃねぇんだ。」
息を少し吐いてから、稚春を見つめる。
「…そうなの?」
「うん。この前、傘下に入ってねぇチームが二つあるって言ったでしょ?」
「うん。その一つは《VENUS》でしょ?」
「うん。当たり。そして、もう一つが《黒王》って言って、あまり良くないチームなんだ。」
「…あまり良くないって?」
「…正直言って、稚春には絶対近付いて欲しくないチームなんだ。
薬もするし、一般人には手を出すし、喧嘩だって武器を使ってくるし…とにかく、危険なんだ。」
稚春をチラッと見ると、
「酷いチームだね…。」
と顔を歪めていた。
そうなんだよ、稚春。
だから、君にはあまり出歩いてもらったら困るんだ。
「そうなんだ。だから…「うん。分かった。なるべく一人で出歩かないようにするよ。」」
「…え?」
聞き間違いなのか。と伏せていた顔を上げる。