赤い狼 参
でも、稚春は笑顔で。
「だから、私が皆と居ればぃぃんでしょ?」
柔らかく、笑った。
「ぃぃの?今より自由に出歩けないかもしれないよ?」
「ぃぃよ。だって、隼人からのリング、受け取っちゃったし。」
そう言って、稚春はニカッと笑いながら左手の薬指を見せてきた。
「…自分の意思で受け取ったんじゃねぇんだろ?」
「うん。でも、皆とは一緒に居たい。」
強い意思を込めた目で見つめてくる稚春。
その目は、"もう決めた"と言っているようで。
「…分かった。じゃぁ、これからはなるべく俺等と一緒に居てくれる?」
そんな目をされたらこっちが折れるしかねぇじゃねぇか。
「うん。分かった。」
俺の言葉を聞いた稚春は、華が咲いたように笑った。
「それでさ、稚春。稚春に逢いてぇって言ってる奴が居るんだけど。」
「ふぅん。そうなんだ。………って、逢いたい!?」
稚春は、驚いた様子で目を見開く。
その様子が少し笑える。