赤い狼 参





「おーい?稚春ー?聞いてる?」



稚春の目の前で手をブンブン振るけど、反応は無し。




…あらら。完全に固まってるみたいだね。







「…三代目って…誰が?」






少しずつ意識を取り戻してきた稚春がまだ固まったまま、口だけを動かす。




「んー?隼人だよ?」



「嘘!?」



「あ。動いた。」



「隼人って三代目だったの!?」



「え、うん。何代目だと思ってたの?」



「もっと歴史が深いのかと思ってた…。だって関東統一って言ってたし。」





…あー。そういう事か。




「関東統一したのは、一代目だよ。で、その形勢は未だに劣らず。って感じかな。」



「へぇー。そうなんだ。じゃぁ、一代目ってきっと凄い人なんだろうなー。」



「…稚春、言っとおくけど、稚春はもう一代目に逢ってるよ。」



「は!?いつ!?」



「もうずっと前に。」



「…はぁ!?逢ってないよ!」



「いや、それが逢ってるんだよねぇ…。」



「…え…本当に?…誰?」



稚春がすげぇ見つめてくる。



ゴクッと唾を呑む音が聞こえてきそうだ。



多分、ビックリするんだろう。



なんて、呑気に考えながら口を開く。







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