赤い狼 参
余計な声が聞こえたけど。
「誰が愛しのマイハニーだ!!」
ほら、やっぱり…。
怒鳴り声がした方を見ると、稚春が顔を少し赤くしていた。
「そんな冷てぇ事言うなよ。茂ちゃん困っちゃう!」
――ゴンッ――
「死ね。今すぐ死ね。死なねぇなら俺がぶっ殺す。」
「え。ちょっと隼人くん恐いよ。目がガチなんだけど。
えぇええぇえぇええぇ。ちょっ、指が首に食い込んでるんだけど。ねぇ、誰か助けて。いや、マジで助けて。」
「死ね。今すぐ死ね。」
…わぁー。
隼人と茂さん、ぃぃ図だなぁー。
茂さんが必死ってあんまり無いもんなぁー。
…と、呑気に二人がじゃれあってるのを見ていると…
「茂さん!!《SINE》の一代目総長って本当なの!?」
興奮している稚春が俺の隣を風のように走り抜けて、茂さんの肩を掴んでグラグラと揺らす。
「稚春…取り敢えず落ち着け。落ち着いてくれ。気持ちわりぃから。吐きそうだから!!」
「吐け!どうなの!?茂さんは一代目総長なの!?」
「分かった!分かったから!取り敢えず、離してくれ!」
「早く吐けって言ってんでしょー!?」
ギャーギャーギャーギャーと言いたい放題に叫ぶ稚春と茂さん。
…他でやってくれないかなぁ…。
正直言って、目障りだ。