赤い狼 参
「でも…隼人から黒いオーラが出まくってる気がするんだけど…。」
そう言いながら稚春はチラッと隼人の方を見る。
それにつられて俺も隼人を横目でチラ見する。
…確かに。ドス黒いオーラがムンムンに出てるな。
はぁ。
どうしてお前はいつも眉間に皺を寄せてるんだ。
隼人が眉間に皺を寄せて俺等を見ている。
その光景を見ている俺の眉も段々と中心に寄っていく。
「…そんなに気に入らねぇなら正直に言えばぃぃじゃねぇか。隼人。」
隼人の目を見ながらため息をつく。
もう今日は疲れたなぁ…。
チラッと部屋に置いてある時計を盗み見る。
…もう6時か…。
あ、そういえば…
「稚春、今日何時に帰る?言ってくれたら茂さん呼ぶから。」
「え、わざわざ呼ぶの?ぃぃよっ。だって茂さんも忙しいだ「早く言え。」はっ?」
…だから、
「隼人は少し黙ってろ。お前が話に入ってくるとややこしくなるんだよ。」
俺は隼人に右手で"あっちに行け""黙ってろ"とジェスチャーをする。