赤い狼 参





でも、心配はねぇな。




だって…



「じゃぁ明日、学校まで送っていくよ。俺じゃなくても連とか、隼人とか、茂さんとか。」



「俺が入ってねぇ!」




送り迎えが居るからな。



とある程度、安全そうな奴の名前を言うと、奏が自分の名前が入ってねぇ事に気が付いたらしく、高校生とは思えねぇ程に喚く。




でも、決して俺は稚春の送り迎えの候補に奏の名前を入れねぇ。



何故ならば。






「奏…、お前…バイクに乗ると性格変わんだろうが。どう考えても無理だ。」






そうなのだ。



奏はバイクに乗ると周りが一切見えなくなり、半端ねぇぐらいスピードを出すのだ。



例えるなら、あれだ。



我が道を行き、周りを一切気にしねぇ目の前にある物しか見てねぇ猪(イノシシ)だな。



一般で言う、スピード狂なんだ。




そんな奏の後ろに稚春を乗せて走るなんて、恐ろしい。




つぅーか、奏が殺人を犯しかねねぇ。



いつもの勢いで、しかも稚春を乗せて人を何回も引きそうになるのを俺等が停めるのなんて、ごめんだ。




もしかしたら、稚春を振り落とすかもしれねぇし。







< 90 / 410 >

この作品をシェア

pagetop