天使のキス。
「悪いが、その条件をのむことはできない。
考えてもみろ?
オレにメリットなんか、何一つもない」


――オレは、さ?
おまえなんかと違って。
愛里なんか、眼中にはねぇんだよ。


だから…


「勝負なんかするまでもなく。
愛里なんか、くれてやるよ」


おまえの気が済むなら、そう言ってやろう。


そう断言し、


「悪い。
気がのらねぇ。
今日はもう帰る」


隼人と昴にそう言って、ラケットを肩にかついで、佐久間健に背中を見せると――…


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