天使のキス。
悠が望むならば。


ずっとずっと、そばにいたいと思うよ?


今だって、あたしは、十分、悠を必要としているよ?


でも、それを形で表すのは、本当に難しい。


だって、心は。
だって、気持ちは。


目には見えないものだから。


「愛里の知りたいことには、全部答えたよな」


悠は踵を返し、壁のラケットを手にとった。


「悠っ…」


ここで何か言わないと、悠とは本当に終わってしまう。


「あのっ…」


ここで何か言わないと、悠とは、もう会えないかもしれない。
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