モデル同士の恋
「それでは、美少女と美少年を発表します!
まず美少女、B組結衣ちゃん!!
どうぞステージへ。」


…B組の、ゆい…?

あれ、あたしと同じ名前の人ってこのクラスにいた?


いない、よね…


あたしがしばらく呆然としていると

「ほら、結衣!
はやくいきなよ。」

夏希が肘で小突く。


まじで…あたし?


あまり状況を理解できないまま、情けない歩き方でステージへ上る。



アナウンスが始まると隣にいる颯太が

「お前すげーじゃん。
マジで驚くことしやがった。」

と笑って言った。


あたし、ほんとにとっちゃったんだ…


信じられない…。



でも、嬉しい!



そう思うと、どんどんテンションが上がってきて

「ざまーみろ!
あたしが本気出せばこのくらい楽勝だし!!」

と颯太に言う。


今度は颯太に勝てた!


有名な人、より美少女の方が、勝ったって言える…よね?



「は?
お前それがさっきまで驚いてた奴が言う言葉かよ。」

颯太は嫌味っぽく言ってくる。



…。

そりゃ、そうだけど…。



あたしはすこし、ひきつりながら

「な、なんのこと?」

と頑張って流す。



駄目だ、そんなアドリブ出来ない。



「お前演技下手!
まぁそういうことにしておいてやるよ。」

颯太はそう言って笑う。



そして次の瞬間、

「…颯太君!」

と言うアナウンスが聞こえた…気がした。



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