モデル同士の恋
「でもそれから色々あって、
お父さんが好きって気づいて、ね。」


照れ笑いをするお母さんはすごくきれいだった。


そういえばお父さんもかっこいいけど
お母さんだって綺麗だ。


あたし、恵まれた環境にいるのかも、ね。


みんながよく気にする、
授業参観だって恥ずかしくなることもない。




「結衣はどうせ颯太でしょ?」

お母さんはさっきの綺麗な笑顔とは反対に
すごく悪魔みたいな笑顔を浮かべて聞いてきた。


前言撤回!

お母さんは綺麗なんかじゃない。



ってか、なんで颯太ってわかるの?


「でしょ?
他にいないよねー。
あ、でも今日の朝の人かもしれないか!」

まだ覚えてたんですか。



…葵君には申し訳ないことしちゃったかな…。





「でも、颯太なんでしょ?


…あんたの場合、
お母さんとは違うと思うわ。」


あたしの返答を待たず、
ひとりで話を進めるお母さん。


はずれてはいないけど…。



「違うって?」


「ただ気づいてないだけなんじゃないの?」


「何に?」

あれ、こんな会話つい数時間前にもしたような…。

っていうか確実にした。


その先がわかったことに気づいたのか、お母さんは

「お母さんからしてみたら、ずっとそう見えたわよ?」

と言う。


ずっと…ね。


「違う?」


「…わかんない。」


誰に聞いても悩みは深まるばかり。

自分の気持ちが
どんどんわからなくなってくる。


あたしは颯太のこと、好きなのかな?


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