モデル同士の恋
あ。


あの時に勢いで、
告白でもしときゃ
よかったか?


それもそれで後悔してた気がするから
これでよかったんだ、と自分を慰める俺。


痛いな、これ。



「どーした、食えよ。

あ、金なら気にすんなよ、
もちろん俺のおごりだ。」

おじさんは胸を叩いてまかせろ、
と付け加えて笑った。



俺の話を聞いてくれる
なんて言ってたが、
さすが結衣の親父。



ごちそうを前にして、
俺の悩み事なんて頭の端っこに
やってしまったに違いない。




「ほらほら、お前これ好きだろ?」

そういって、流れてきたお寿司を取って
俺の前に置くおじさん。



「…はい」

ここまでやられちゃ
食べない訳にもいかない。


俺は割り箸を割り、
皿から一貫取って口に入れる。



味は、あまり感じられなかった。


食欲が本当にない時は
こんな風になるのか。
と感心してしまう。


病んでるな俺。


でも後悔したって今更
どうしようもない。


今頃結衣と葵はラブラブか?


そんなことを考えると元々ない食欲が
更に減った気がした。


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