モデル同士の恋
「おーい、食わないのか?」

目の前で手をヒラヒラさせるおじさんに気づいてはっとする。


「た、食べますっ。」




「うわっ颯太が敬語使うなんて…!
相当やばいのか?」


おじさんは真剣に心配し始める。


そこかよ、と心の中で突っ込んではみるがそれを口に出す気にはなれなかった。


「何があったんだ?
って聞かなくても予想はつくけど。」

そう言って意地悪そうに笑うおじさん。


そりゃ見てれば俺の気持ちなんかわかるよな…。


「うちの結衣が何かしたんだよな?
あいつ馬鹿だからなー。」
…今回、あいつは何かしたと言えるのか?



俺の自業自得なだけな気もする。


「結衣に、彼氏が出来る、かも。」

口にはあまり出したくなかった言葉。


おじさんはしばらくの沈黙のあと

「なんでお前喜ばねーの?
念願の結衣と両思いになったんだろう?」


大喜びじゃねぇかと付け加えるおじさん。


おじさんはどうやら結衣の彼氏になるかもしれない奴は俺だと思っているみたいだ。


「違う違う。
別の奴。」


「は?」


「俺じゃない人。」
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