モデル同士の恋
帰り道、
おじさんと昔話に花が咲いた。


「お前覚えてるか?
小さい頃に俺のカメラ落としてさ、
泣きじゃくりながらふたりで謝りに来たこと。」


そういえばそんなこともあったようななかったような…。

「あんときは可愛かったよなーふたりとも。

今じゃこんなにでかくなって。」


「もうすぐおじさん追い越すよ。」

多分、あと五センチくらいだ。

まだとまったわけでもないから
越せる可能性も十分ある。


「駄目だ!
それ以上でかくなるな!」

「いや、なる!」

「なるな!」


そんな会話が何度か続く。

大人だと思ったらこういう子供っぽい一面も見せる、不思議な人だ。


「結衣ともよくこんな会話になってんだろ?
ってかなってるよな。」


「まあそれは…。」


「たまには素直になって、はやく仲直りしろよ!」


「はい…ってえ!?」

なんで喧嘩したことまで知ってんだよ。


言ってないよな?


「結衣が出掛ける日にお前が朝来ないの、
おかしいから。」


確かに…


毎回起こしてやってたもんな。


今日はあいつ、起きられたのか?


こんなときでも心配している俺はおかしいかも…。


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