モデル同士の恋
意外と長い、
結衣の家のリビングからここまでの廊下。



だんだん大きくなってくる
その姿を見て、俺は驚いて声が出ない。


隣でおじさんが少し、
笑った気がした。




廊下を走っていた時間はほんの数秒だったはずだが、
俺にはとてつもなく長く感じられた。


それが何故かは、
わからないけど。


やっと、その姿が目の前に来たところで

「結衣…」

と無意識のうちに呟く。




…って俺、睨まれてる?

ってかなんでもう帰って来てんだよ。

そしてなんでここまで走ってくる?


意味わかんねー。


俺の頭には疑問ばかりが浮かんでくる。


と、色々考えた次の瞬間。


横を通り抜けて、靴を履き出す結衣。


なんなんだ、一体。



おじさんをみると、
ただ笑ってるだけで
その表情から何かを見つけることはできなかった。


「お父さん、ちょっと出掛けてくるね!」


「どこに?」


「近くの公園!」


「そんなんで許可とんの珍しいじゃん。」


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