モデル同士の恋
―帰り道。


収録中はさっきのことなど気にせずに頑張れた。


でも終わった途端にどっと疲れがきて
体力も気力も限界に近付いていた。



しかも、今日は颯太のお母さんが
用事で迎えに来れないから帰りは電車と歩き。



…颯太とふたりきり。





多分颯太はこういうところ優しいから、
色んなことを考えてくれているんだと思う。


あたしがまた怒ってたら…とか。




あたしはそんな風に思われるのが嫌で
疲れている自分にムチ打って明るくつとめた。




結果、あたしがほとんどひとりで話している状態。


颯太はうん、とかそういう相槌をたまに言うだけで
自分から話すようなことはしなくて…

それが余計に寂しかった。




もうすぐ家、というところで颯太が突然口を開いた。



「怒ってる?」


「…なんで?」


今普通に話してたじゃん、と心の中で呟く。



「いや、だって…」

口ごもる颯太。


…わかんない。


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