本当の仲間
──沖矢 総司side


愛華ちゃんと話がしたくて愛華ちゃんのクラス、C組まで来たんだけど誰もいない。今日は運が悪いなぁ。
帰ろうと思い、教室を出ようと思ったら窓側の一番後ろの席に何か光る物が見えた。近づいて見てみるとロケットペンダントだった。かなり長いチェンーンに全体的に銀色で長方形の真ん中に十字架のマークが記されている。
手にとって見てみる。

その時、教室のドアが開いた。
愛華ちゃんだった。

「あ…」
「返せ!」
愛華ちゃんは僕の手からペンダントを奪い取った。
「…中見たか?」
「いや、見てないけど」
「ならい…!てめッ!」
僕の顔を見て驚く愛華ちゃん。僕の顔はそっちのけでペンダントしか見てなかったんだ。
「クスッ。久しぶりだね、愛華ちゃん」
「な、なんであたしの名前…ッ!」
「原田先生から聞いたよ」
「…」
「まぁ良いけど…」
「…」
「ねぇ…1つ聞いていい?」
「…」
無言だ。
「なんで君は…喧嘩をしてるの?」
「…お前には関係ないだろ。一々そういう事を聞かないでくれないか」
「聞く、聞かないは僕の勝手だよね?答える、答えないは君の勝手だけどね」
クスリ…と僕は静かに笑った。
「…それとも、聞いて欲しくなかった、とか?」
ニコリと笑いかける。その瞬間、僕の目には1つの拳が映った。
愛華ちゃんが僕に目がけて拳を突いて来たんだ。
僕だってだてに少林寺やってるわけじゃない。鍛えてるから愛華ちゃんの突きは簡単に止められた。
「…」
「なんで本気出さないのさ」
愛華ちゃんは本気で突いて来なかった。限界の半分以下のその半分くらいだ。
「試しただけだ」
愛華ちゃんはそれだけを言って行ってしまった。
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